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2006年12月03日

プライベートバンク

先日、久しぶりにプライベートバンカーのガリバー(仮名)にあった。ドイツ語なまりの強い英語だけど、彼最近結婚したばかりなのに日本に出張で大変だ。

年に二回くらい日本に訪れて、顧客に訪問する。

今回は、日本の訪問で、日本でプライベートバンクの口座の開き方について、本を出した人に会ったらしい。おいらと、東京駅のアオゾの中の丸善前で待ち合わせをしていると、本を買っていたので、何かったか聞いたら、その例のプライベートバンクの口座開設の本を買っていた。

丸善の4階に喫茶店があるので、そこでちょっと話し込んだ。このバンカーの彼いわく、

”今日あった、この本の著者プライベートバンクのホントの意味がぜんぜん理解できていないなあ・・・よくこれで本書いたなあ”、という感じだった。まあ、本の著者は自分がプライベートバンクを開いた体験談を文書化しただけだったので、本場のプライベートバンカーにしてみれば、たいしたことないんだろうな・・・、とおもた。

日本って、財産の保全という思想がまったくない。税金は払うものだし、法律でお金を支払えというと基本的に支払ってしまう。しかし、本当の資産家は、税金対策・・・・また、お金を持っていることを知られると、訴訟(いちゃもん)される可能性が高いので、たとえ支払い請求されても、逃げるすべを心得ている。

いわゆる”アセットプロテクション”という概念である。日本人も大人のたしなみとして、こういうのないかなあ。


2006年12月02日

久しぶりに更新

日本に帰国して、半年たった。久しぶりにブログの更新をしようと思う。後で見直したときに、今の考えを明確に思い出せるように。

今はやりのTOB(株式公開買い付け)について思った。今月から、1/3以上の株式を市場外をからめて買い付ける場合は、TOBという制度を活用しなければならない。普通、株式を買うのは証券会社に注文を出せば誰でも変えます。しかし、ある一定以上の株式を買う場合は、TOBという制度に従わないといけません。

つまり、株式市場・対象会社に対して、”僕、○○会社の株を△△円で、◇◇の間に買いますので、よろしくお願いします。”と宣言してからでないと、購入できません。

”株主保護の観点(キーワードですね)”という名目で、株式市場に新しいルールを導入しました。

これで、こそこそっと、会社を買収することは難しくなりました(抜け穴はまだありますが・・・)。これでほっとしているのは、誰でしょうか?株主・・・?いや、経営者でしょうね。

数年前から、日本でも敵対的買収を防衛する観点で、”買収防衛策”を導入する企業が目立ちます。理由は、買収されて、大切な会社の資産を売り払われて、既存株主に対して不利益が生じないようにと・・・。

これはうそですね。僕が師事していた、アメリカの某CIOは、PDPで有名な日本の大手電気メーカーが買収防衛の一環でポイズンピル※を導入しようとした時には、社長宛に、抗議文書を送っていました。

※買収を仕掛けられたときに、新株を買収者以外に割当して、買収者が株を買っても買っても予定の比率に達しさせないようにして、困らせる。

最大の買収防衛策は、株主価値最大化(=株価を高く維持すること)であって、買収防衛策により、経営者が守られた状態では、株主価値を最大化するようなインセンティブが働かない。外部から絶えず買収されることを念頭に置くことで、会社の価値の最大化にまいしんするという。

先日、○○エモンの顧問を務めた弁護士とこの前議論した。彼によると、”あんなの(買収防衛策)は基本的に子供だましで、なんの役にも立たない。ポイズンピルなら、新株を発行させてからが、本当の戦いじゃないですか・・・”、という。

ちょっと話がややこしいですが、新株を発行する(=お金を株式市場から調達する)のは、設備投資等資金が必要な場合に行う行為です。買収を仕掛けられたときに、”実は、うちの会社設備投資にお金がいるので、株を発行させてください”といって発行します。!!??っていって新株の発行して、お金いるんだって思います??

普通に考えて、そんなピンポイントでして、”ほんとに設備投資の為?普通に考えたら、ただの買収防衛じゃないのですか?”と裁判所に申し出れば、発行側(会社)はかなり厳しくなり、新株発行を差し止めをされる可能性がある。

法曹界でも、先日の王子製紙による日本製紙の買収の際、日本製紙が三菱商事に第三者割当で新株を発行しましたが、皆口を揃えて、王子製紙はなんで、日本製紙に差し止め請求をしなかったんだろうと言う。裁判に持ち込んでいれば、三菱商事への割当が却下され、違ったシナリオになった可能性が高いだろうという。

弁護士は、法廷に持ち込んだほうが儲かるから、そういうんだろうけね・・・・でも法廷に持ち込むくらいの根性ないと、M&Aはしちゃいけないということでしょうね。

TOBに限らず、M&Aというのが、最近の流行・・・お金が余ってくると、M&Aというのがはやる。株主からの成長に対するプレッシャーで、安易にM&Aによる拡大を試みる。M&Aって、失敗することの方が多いのに・・・。

買収に関して、日本でひとつ大きな穴がある・・・。経営者と株主と従業員・・・それぞれは独立した利害関係者で、それぞれの利益が相反するので、国会と司法と行政のような三権分立のような牽制が働くけど、経営者と株主が同一の人物がするとこの牽制が崩れる。

会社の業績をわざと悪化させる。l将来発生しそうな費用を全部前倒しで計上する。業績の下方修正を発表する。

すると・・・・株価は暴落します・・・・暴落して、この会社だめだと思わせたときに、経営者がMBO(マネジメント バイ アウト-経営者自身がファンドなどと一緒になって会社を買収します。・・・わざと悪化させた業績なので、その後数年かけて業績を回復させるのは容易です。

数年後、再上場させた際に、経営者は見事億万長者になれます・・・アメリカだとクラスアクションで訴えられるでしょうが、日本では今のところ訴訟は難しいので、早い者勝ちです。

多分、知っている人は知っているので、今後数年間でいっぱい出るでしょう・・・・。ファンドはお金がある限り、企業買収しますんで・・・。来年は株価厳しいか・・・。

ここがすごいぞシリーズ・・・このTOB制度がないと・・・・
こそこそっと、会社の株を買い占めて、突然大株主になって、取締役を解任し、自分の息のかかった人間を送り込んで、会社をのっとることがお金さえあれば可能です。こそこそっと、会社を支配しようという場合に最適ですね。

別に、株主にしてみれば、株を買い占める間に株価は上がるし、何が困るねんという気もしますが・・・買って特にならないくらい高い株価にできない今の経営者なんて首にしたほうがいいじゃんという気もしますが・・・。